日本人にとってはお馴染みの和菓子、羊羹(ようかん)ですが、その漢字には「羊」の文字が入っています。素材や味には「羊」の要素はなさそうですが、なぜ「羊」の字が使われているのでしょうか?
羊羹は「羊のスープ」だった
羊羹は「羊」の「羹(あつもの;肉・魚などのスープ)」と書きます。その字の通り、もともとは中国で「羊の肉を使ったスープ」を意味する料理でした。この羊のスープが冷めてゼラチン状に固まったのが今の日本の羊羹の由来になったのです。
羊の脂は他の動物の脂に比べて融点が高いため、羊羹のように固めるのに向いていたのかもしれません。
日本で小豆が羊肉の代わりに
「羊のスープ」を意味していた羊羹は、鎌倉時代から室町時代にかけて、中国から帰国した禅僧によって日本に伝えられました。
しかし、当時の禅僧は肉食を禁じられていたので、羊肉の代わりに小豆を用いるようになりました。そして、中国で始まった「羊羹」は日本の和菓子として成立していったのです。
ちなみに、「小豆を肉の代わりに使う」という当時の日本の発想は羊羹だけではなく、饅頭(まんじゅう)などにも適用されました。そのため、もともと餡は塩で味付けされていたようです。
羊羹はスポーツ時の栄養補給にも?
羊羹は保存が効き、カロリー補給にも適しているということで、最近ではスポーツ時の栄養補給としても注目を集めています。2013年に三浦雄一郎さんが世界最高齢の80歳でエベレスト登頂に成功した際にも、羊羹を食べていたという話は有名ですね。
最近では、スポーツ用の羊羹も販売されているようなので、運動のお供としても試してみてはいかがでしょうか?